【制度活用術】仕事と育児の両立を実現!会社の支援制度と先輩ママの解決法9選

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「仕事を続けたい、でも育児も手を抜きたくない」そんな想いを抱えながら日々奮闘している方は少なくありません。日本の共働き世帯は全体の7割を超え、仕事と育児の両立は多くの家庭にとって大きな課題になっています。しかし現実には、時間のやりくりや家事の負担、職場での理解の乏しさなど、乗り越えるべき壁も多く存在します。 この記事では、会社の両立支援制度の活用法をはじめ、働きながら子育てをしている方たちのリアルな工夫や体験談をもとに、「仕事と育児の両立」を実現するためのヒントを紹介します。あなたらしいワークライフバランスの築き方を探っていきましょう。

目次

仕事と育児の両立|現状と課題

仕事と育児を同時に担うことは、多くの家庭で避けて通れないテーマです。特に子どもが小さい時期は、突発的な体調不良や送迎時間の制約など、日々の生活に予想外の負担が加わります。ここでは、働く親たちが直面しやすい課題や「しんどさ」の背景を整理しながら、両立を考えるための第一歩を見ていきましょう。

時間管理の難しさとストレス

共働きで未就学児を育てている方は、1日が24 時間では物理的に足りないと感じる人も多いのではないでしょうか。令和3年に実施された総務省「社会生活基本調査」によると、夫婦共働き世帯の平日平均家事・育児時間は母親が 235 分、父親が 83 分でした。これに就業時間と通勤、食事や入浴や睡眠を合わせると、自由に使える時間はほとんどありません。

働くママのタイムラインを記した画像

どこかでイレギュラーが起きるとすぐに崩壊してしまうギリギリのスケジュールです。また育児から仕事へ、仕事から育児へとすぐにモードを切り替えなければならない状況は、心身ともに休まる間がなく、慢性的な疲労やストレスにつながり、両立の難しさを感じる大きな要因となっています。

家事・育児の負担と「できない」罪悪感

毎日、当たり前のように続く家事や育児。無くすことはできませんが、すべてを完璧にこなすのは現実的ではありません。子どものためにも「ちゃんとやらなきゃ」と自分にプレッシャーをかけ、それでも思うように進まなかった日には「私はダメな親かも」と自責の念にかられていませんか。真面目で責任感の強い人ほど、罪悪感を覚えやすい傾向があります。

職場での理解不足と孤独感

時短勤務を選択した瞬間に「もう第一線では戦えない」とみなされる……そんな無言のバイアスを感じた経験はありませんか。「子どもが熱を出したので早退します」「保育園の行事で休みます」などの理由で休暇や早退を申し出るたびに、同僚や上司の顔色をうかがってしまう人も多いのではないでしょうか。表立って非難はされていなくても、どこか肩身が狭く感じてしまう職場環境に、孤独や不安を感じる方も少なくありません。

また、子育てに理解のある上司や同僚がいない職場だと、「どうせわかってもらえない」と悩みを打ち明けることすらためらってしまいます。結果として、誰にも相談できずに一人で抱え込み、より一層「しんどい」と感じる悪循環に陥ってしまうことがあります。

子育てと勤務時間のバランスの問題

保育園の送迎や、子どもの発熱など急な呼び出しに対応するには、柔軟な働き方が必要です。しかし日本ではフルタイムの定時勤務を前提とした企業文化が根強く、時短勤務や在宅勤務が制度としてあっても、活用しにくいケースがあります。

首都圏企業のコアタイムは9時〜18時が多数派。通勤時間を考慮すると、登園時に子どもがぐずったり就業間際に突発的な打ち合わせが発生したりすれば、それだけで予定が崩れるタイトなスケジュールです。

仮に退勤が遅れると、延長保育料が発生します。さらに子どもの食事や入浴が後ろ倒しになり、就寝時間も遅くなることに。すると翌朝の機嫌不良にも繋がりやすく、悪循環に陥ってしまうのです。結果として親がどこかで無理をすることになり、心身ともに疲弊してしまうことがあります。

家族の協力不足と「ワンオペ育児」

父親が平日の家事・育児に費やす時間は、世界38カ国が加盟するOECDの平均がおよそ150分/日であるのに対し、日本は約52分/日にとどまります。家事と育児のシェア率(父親時間 ÷ 両親合計時間)はOECD平均が33%に対し、日本は14%しかありません。

家庭内でのサポートが得られず、育児・家事のほとんどを一人で担う「ワンオペ育児」状態になると、仕事との両立は非常に困難です。配偶者の協力があってこそスムーズな日常が成り立ちますが、「自分だけが頑張っている」と感じてしまうと孤独感や不公平感が募り、ストレスの原因に。家族での話し合いや協力体制の構築が、両立の第一歩になります。

企業の支援制度の認知不足と活用率の低さ

育児と仕事の両立を支援する制度(時短勤務、在宅勤務、看護休暇など)が整っていても、それが十分に周知されていなかったり、上司や同僚の理解が得られず申請しにくかったりする場合もあります。

厚生労働省の「令和4年度雇用均等基本調査」によると、出産した女性の育児休業取得率は85.1%まで伸びた一方で、男性は17.1%にとどまりました。同じ調査では、子どもが生まれた男性従業員の約6割が「1か月以上の育休を希望した」と回答しており、ニーズと実際の利用率に大きなギャップが存在します。また「就労条件総合調査(令和3年)」では、テレワーク制度を就業規則に定めている企業が約33%あるものの、実際に利用した従業員は常用労働者全体の13%程度に過ぎないとあります。

制度自体があっても、実際に使える雰囲気がないと意味がありません。制度の存在を「知っているか」「使えるか」は、両立を左右する大きなポイントです。

両立支援制度の基礎知識

母親と幼い娘が家で団らんしているイメージ

仕事と育児を無理なく続けていくためには、企業や国が用意している両立支援制度を知り、上手に活用することが欠かせません。制度の存在を知っているかどうかで、働き方の選択肢や心の余裕が大きく変わってきます。ここでは、法律で定められた仕組みから、企業が独自に整えている支援策まで、両立に役立つ制度の基本をわかりやすく整理していきます。

育児・介護休業法とは?法律の概要と目的

育児・介護休業法は、仕事と育児や介護を両立できる社会の実現を目的として、1991年に制定された法律です。主に、育児や介護を理由に離職することなく働き続けられるようにするため、休業や勤務時間の短縮、深夜業の制限などを企業に義務づけています。働く人がライフステージに応じた柔軟な働き方を選べるように整備された重要な法律です。

育児休業の取得条件と期間

育児休業は、原則として子どもが1歳になるまで取得できます(一定の条件を満たせば最大2歳まで延長可能)。取得できるのは、原則として同じ会社に1年以上継続して雇用されている従業員です。パートタイマーや派遣社員でも条件を満たせば対象になります。

2022年10月にスタートした「出生時育児休業(産後パパ育休)」は、父親が産後8週間以内に最長4週間休める新制度です。最大の特徴は2回まで分割取得できる点で、たとえば「出産直後1週間+妻が実家から帰るタイミングで3週間」といった柔軟な組み合わせが可能になりました。男性の育休取得率向上も近年の大きなテーマです。

介護休業との違い

育児休業と介護休業は、「育児・介護休業法」という同じ法律で定められていますが、対象者や取得単位、期間などが異なります。

〈育児休業〉

  • 対象:原則として1歳(最長2歳)までの子ども
  • 取得可能日数:原則1年、一定要件で最長2年
  • 分割取得回数:出生時育児休業(産後パパ育休)とあわせて最大4回まで分割可

〈介護休業〉

  • 対象:要介護状態にある配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹など広範な続柄
  • 取得可能日数:対象家族1人につき通算93日
  • 分割取得回数: 93日を3回まで分割可

育児休業は出産日を起点に準備ができますが、介護休業は突発的に始まり、そのまま長期化しやすい点が大きな違いです。予期せぬ負担となりがちで、企業側の理解と柔軟な対応がより一層求められています。

次世代育成支援対策推進法の役割と企業の取り組み

次世代育成支援対策推進法は、少子化に歯止めをかけ、次世代を担う子どもたちの健全な成長を支援することを目的としています。

子育て支援を促進する企業の取り組み

企業には「一般事業主行動計画」の策定が義務づけられており、子育て支援のためにどのような取り組みを行うかを明文化する必要があります。計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の「くるみん認定」を受けることができます。

実際の取り組み例として、「時差出勤のコアタイムフリー化」「小学校3年生まで利用できる短時間正社員制度」「社内チャットボットによる制度ナビゲーション」などがあり、育休からの復帰率が99%まで上昇した企業もあります。

厚生労働省の支援策と「両立支援のひろば」

厚生労働省が運営する「両立支援のひろば」は、企業が仕事と家庭の両立支援を加速させるためのウェブサイトです。

企業の取り組み状況を公開し、求職者や従業員が企業を選ぶ際の参考にできるほか、助成金制度やモデル就業規則の提供など、企業側への支援策も用意されています。ログインすれば自社専用ダッシュボードが作成され、現状把握から制度導入、助成金申請までを一気通貫でサポートしてくれます。

両立指標を活用した企業評価の仕組み

企業の子育て支援状況を「見える化」する制度として、先述した「くるみん認定」や女性の活躍を推進する「えるぼし認定」などがあります。企業施策の実効性を数値化し、組織の健全度を可視化する評価フレームワークです。

両立指標は社外公開に威力を発揮します。統合報告書やESGレポートに掲載すれば、投資家や求職者が企業のサステナビリティ姿勢を具体的に評価できます。一方企業側のメリットは透明性向上やボトルネックの特定による制度改善スピードアップ、従業員側も制度申請への心理的ハードルが下がり、結果として利用率が高まってキャリア継続が促進される好循環が生まれます。

企業が提供する主な両立支援制度

オフィスでいきいきと働いている女性のイメージ

近年、多くの企業が従業員の育児と仕事の両立を支えるために、法律で定められた制度に加えて独自の取り組みを進めています。その内容は企業によってさまざまで、自分のライフスタイルや家庭の状況に合った制度を把握しておくと、復職後に無理なく働き続けるための大きな助けになります。ここでは代表的な制度の内容を見ていきましょう。

時差出勤やフレックス勤務制度

時差出勤やフレックス勤務制度は、出社・退社時間を柔軟に設計できる仕組みで、子どもの送迎や通院など家庭事情に合わせて労働時間を調整できます。固定勤務時間は保育園の開閉時間と衝突しやすく、遅刻・早退の常態化やキャリア停滞の原因になりがちです。多くの企業がコアタイムを短縮したり、完全フレックス制を導入したりして、親世代の働きやすさを高めています。

〈コアタイム設定の例〉

  • 10時~15時型:保育園への送りを終えてから出社し、15時以降に退社すれば17時の迎えに間に合う典型モデル。
  • 11時~16時型:通勤ラッシュを避ける目的でも採用が多い形式で、夜型のライフスタイルとも親和性がある。
  • コアタイムなしのスーパーフレックス型:1日4時間以上勤務すれば場所・時間自由という形態で、早朝5時‐9時に集中して働き、日中は子どもの行事に参加するなどカスタマイズ度が高い点が特徴。

テレワークや在宅勤務の導入

コロナ禍をきっかけに急速に広まったテレワークは、育児との両立手段としても有効です。たとえば往復90分の通勤を週5日削減すると、月間で約30時間が浮きます。通勤時間を育児や家事に充てられることや、子どもの急な発熱などにも柔軟に対応できる点が魅力です。

一方で、自宅から社内業務にアクセスすることは情報セキュリティのリスクを伴うため、企業側は安全な通信環境の確保が必要です。コミュニケーションツールの活用や定期的な1on1の実施、勤怠管理や評価制度の見直しなども必要かもしれません。ただこの文化が根付けば、テレワークは単なる非常時の代替手段ではなく、育児とキャリアを両立させるための要になるでしょう。

育児支援サービスや福利厚生の充実

育児支援サービスや福利厚生は、大きく「外部委託・提携型」「社内設置型」「金銭補助型」の3つに分類できます。

「外部委託・提携型」:代表例はベビーシッター補助です。企業がベビーシッター会社と法人契約を結び、従業員は通常料金の30〜50%引きで利用できる仕組みで、急な残業や保育園の休園日に重宝されています。

「社内設置型」:代表例は社内保育所です。都心のオフィスビル内に託児スペースを設けるケースが増えており、送迎時間の削減に繋がっています。

「金銭補助型」:病児保育保険が注目されています。子どもが発熱した際に利用できる専門施設や看護師派遣の費用を会社が全額または一部負担する制度で、仕事を休まず安心して子どもを預けることが可能になっています。

派遣という働き方で仕事と育児の両立を叶える

仕事終わりの母親が幼い子どもを保育園まで迎えに来たイメージ

育児中の方にとって「自分で時間を調整できること」はとても大切です。派遣という働き方は、この“時間のコントロール”がしやすい仕組みになっています。

派遣社員の柔軟な働き方が育児世代に向いている理由

たとえば、派遣の契約期間は1か月・3か月・半年など柔軟に選べて、更新のタイミングで「働く曜日や時間」を見直すこともできます。正社員だと、勤務時間や勤務地が就業規則で決まっていて変更しづらいことが多いですが、派遣ではお仕事ごとに条件が提示されるので、保育園の送り迎えや家庭の予定に合わせて、無理のない働き方を選びやすいのが魅力です。

また、勤務地や業務内容が家庭事情と合わなくなった場合でも、派遣元が別案件を紹介することで配置転換の選択肢が広がります。転職活動ほどの負荷をかけずに就労条件をリセットできる点は、育児期特有のライフイベント変動にフィットします。

派遣で働く際に活用できる支援制度とメリット

派遣社員であっても、法律で定められた育児や介護に関する休業制度は基本的に正社員と同様に利用できます。たとえば、派遣元の企業が一定の条件を満たしていれば「育児休業」「介護休業」「看護休暇」などの制度を申請できる可能性があります。

また、派遣会社によっては、独自に子育て支援制度や福利厚生を整備しているケースもあります。たとえば、時短勤務制度、保育料補助、相談窓口の設置、キャリアカウンセリングなど、育児と両立しながら安心して働ける環境づくりを行っている派遣会社も増えてきています。

先輩ママが実践する両立の解決策9選

家で父親、母親、幼い子どもが遊んでいるイメージ

➀タイムブロッキング

まずおすすめしたいのが「タイムブロッキング」です。カレンダーアプリを開いて、月〜金の予定を15分単位で表示してみましょう。保育園の送迎やミーティング、家族の予定など“動かせない予定”から順に入力し、そのあとで仕事や家事、移動、睡眠などを色分けしてブロックしていくと、1週間の動きがパッと見てわかるようになります。

家族みんなでこの仕組みを回していくには「見える化」もポイント。カレンダーを家族と共有し、パートナーには「編集権限」をつけておくと、お互いの予定をリアルタイムで把握できます。

最後に大切なのは、“役割分担”を人ではなく“仕組み”に任せること。「ママは火曜に食材を切る」「パパは水曜に洗濯を干す」と固定するのではなく、カレンダーやチェックリストが“今余裕がある人”にタスクを呼びかけてくれるようにすると、誰かが忙しい週でも自然とカバーし合えます。家族でタイムブロッキングを共有することで、「誰かが頑張る」から「仕組みで回す」暮らしにシフトしていけます。

②明日を楽にする今日の仕込み

もうひとつ大切なのが“前日の仕込み”です。たとえば……

  • 子どもの持ち物リストを冷蔵庫に貼っておく
  • おむつ・着替え・連絡帳を夜のうちにバッグに入れておく
  • 翌日の洋服は上下セット+靴下までまとめて準備しておく
  • 夕飯の片づけついでに、翌朝の朝食用の野菜を切っておく
  • 鶏むね肉などを下味冷凍しておけば、朝はフライパンひとつで調理完了

特に効果が大きいのは「洋服セット&持ち物チェック」で、保育園への到着時間が平均で9分早くなったという声もあります。余った時間を自分のために使えるようになり「朝からイライラする回数が減った」と実感されている方が多いようです。

➂時短家電で「フルタイム12週分」の時間が浮く

時短家電の導入も大きな助けになります。

  • ロボット掃除機:1回30分×週5回 → 年間130時間
  • 食洗機:1回20分の手洗いを1日2回×週7回 → 年間240時間
  • 乾燥機付き洗濯機:干す・取り込む15分×週7回 → 年間90時間

合計でなんと年間約460時間。これはフルタイム勤務に換算すると約12週分!浮いた時間を家族との時間や睡眠、趣味に使えると考えたら、かなり大きなリターンです。

気になる導入コストは、

  • ロボット掃除機:約6万円
  • 食洗機:約8万円
  • 洗濯乾燥機:約15万円

合計で約29万円かかる計算ですが、時短効果460時間を「時給1,500円」として換算すると約69万円分の価値になります。つまり、1年で投資額の2.4倍の“時間”が戻ってくることになるのです。

ご自身の仕事の時給に置き換えてみると、もっとリアルにイメージできるかもしれません。購入前に家計シミュレーションをしてみるのもおすすめです。

④家事分担の工夫とストレス軽減

「家事の担当は決めたのに、なぜか私ばかりがバタバタ……」そんなモヤモヤ、ありませんか?その背景には、「家事の全体像が家族で共有されていない」「分担のやり方が生活スタイルに合っていない」といった原因が隠れていることが多いです。

家事をスムーズに回すには、自分たちに合ったルールを見つけて“見える化”し、定期的に見直すのがコツ。家事分担もアップデートしていくのが自然です。

代表的なのはこの2つ。

  • アジャイル制:「気づいた方がやる」スタイル。柔軟に対応できる反面、「気づいた人ばかりがやる」不公平さを感じやすいことも。
  • 当番制:曜日やタスクで分けるスタイル。責任範囲がはっきりして安心だけど、急な予定変更には対応しづらい一面も。

共働き家庭などでは、平日はアジャイル制・週末は当番制といったハイブリッド型にすると、バランスよく回りやすくなります。

また最近は、家事の“見える化”やスムーズなやり取りをサポートしてくれるアプリも便利です。家事をカードで管理でき、カレンダー連携で「誰が」「いつ」「何を」やったかが一目でわかるものや、チャット×チェックリストで、完了時にはスタンプで感謝の気持ちも伝えやすいものなど。導入した家庭からは「抜け漏れが減った」「感謝を伝えるきっかけができた」といった声があがっています。

また家事の”期待値”を揃えることも成功のカギです。「ちゃんとやったのに文句を言われた」「頼んだけど、想像と違った」、こうしたズレを減らすポイントは「完了の基準」を具体的にすることです。

たとえば、
×「食器を片づける」
〇「シンクに食器を残さず、拭き上げてから終了」

このようにゴールが明確になると、「やったつもり」や「やってくれない」のモヤモヤが減っていきます。

暮らしが変われば、家事の負担も変わります。だからこそ、定期的な振り返りや、アプリのログを見ながら「最近どう?」と話し合う時間を作ってみてください。家事がスムーズに回ると、自然と「ありがとう」が増えて、家族の雰囲気もぐっと穏やかになります。

⑤地域の子育て支援サービスの活用

子育てをしていると、急な残業や体調不良で「今日はどうしても子どもを預けたい」という場面が訪れます。そんな時に頼れるのが地域の子育て支援サービスです。代表的なファミリー・サポート・センター(以下ファミサポ)や自治体のベビーシッター補助は、公的資金を活用しているため費用が抑えられ、利用ハードルが民間サービスより低いのが特徴です。

ファミサポは、市区町村が窓口となり「子どもを預けたい依頼会員」と「育児を手伝いたい提供会員」をマッチングする仕組みです。会員登録は無料で、オリエンテーションを受講し、身分証と緊急連絡先を提出すれば完了します。料金は地域差がありますが、1時間あたり700~1,300円程度。一般的な民間シッターの半額以下になるケースが多いです。

自治体ベビーシッター補助は、要件を満たす民間シッター利用に対して1時間あたり〇〇円の助成を行う制度です。対象年齢や利用回数は自治体ごとに異なるため、まず役所の子育て支援課で最新要綱を確認しましょう。

⑥チームメンバーとのフォロー体制構築

育児中のメンバーは子どもの発熱や行事で突発的に休む可能性が高く、チームとしては“業務の空白”をいかに作らないかが大きなテーマになります。その第一歩が業務とスキルの見える化です。

スキルマトリクスとは、横軸にメンバー、縦軸にタスクを並べ、担当できるレベルを記号や色で示す一覧表のことです。作成手順はシンプルで、

  1. 担当タスクを洗い出す
  2. 各メンバーに自己評価を付けてもらう
  3. リーダーが重複・欠落をチェックして“属人タスク”を発見する

という流れになります。

レベル分けは「A=指導できる」「B=一人で対応可」「C=サポートがあれば対応可」のように3段階にすると運用が楽。Aが1人しかいないタスクは欠勤リスクが高いので、BやCのメンバーに事前トレーニングを実施し、最短2週間でBへ引き上げる計画を立てると安心感が一気に高まります。

⑦上司や同僚への相談と理解促進

「子どもが熱を出したら、急に休んでしまうかもしれない」そんな不安を抱えたまま働いていると、仕事でも家庭でも気持ちの余裕がなくなりがちです。

そこで効果的なのが、上司やチームメンバーへの「先回りの一次情報共有」です。不確実な未来に備えて、あらかじめ「情報の見える化」と「期待値調整」をしておくことで、急な事態にも安心して対応できる環境をつくれます。

■ “カレンダー共有”だけで、緊急対応は3割減
まずおすすめしたいのが、保育園の年間行事予定や通院スケジュールの「カレンダー化」。

チームと共有すれば、会議の調整時に自然と配慮が生まれます。実際に「月初に保育園の予定を共有するだけで、当日の緊急依頼が3割減った」というデータもあり、“伝える手間”が“巻き込まれるストレス”を減らす、という好例です。

■ 「見える化+自動化」で毎回説明しなくて済む
Slackのステータスに「保育園送迎中」などの表示を出したり、Outlookで“17時以降の会議招待”を自動で注意フォルダに振り分けたりと、仕組み化ができると心理的な負担もグッと減ります。こうした工夫があると、たとえ欠勤が発生しても“想定内”として受け止めてもらいやすくなります。

最後に大切なのは、この取り組みを一人で抱え込まないこと。同じような立場の同僚と情報を共有し、意見を出し合えば、「個人のわがまま」ではなく「現場からの提案」としての説得力が生まれます。

 ⑧完璧主義を避ける心構え

「もっと早く帰宅すべき」「子どものお弁当は手作りであるべき」

こうした“べき思考”が積み重なると、心はどんどん追い詰められてしまいます。

この“べき思考”をゆるめていくのに役立つのが、認知行動療法(CBT)というアプローチです。やり方はシンプル。まずは思いついた「べき」を紙に書き出し、

  • それは事実?それとも感情?
  • 親しい友人にも同じことを言うだろうか?
  • 「〜かもしれない」「〜でも大丈夫」と言い換えられないか?

と、客観的に見つめ直してみます。

たとえば「残業せずに帰ると評価が下がるべき」という思い込みがあったら、
→「評価は成果やチームワークでも決まる」
→「必要なら翌朝にカバーしても大丈夫」
と、言葉をゆるやかに変えてみるだけで、心の緊張がふっとゆるみます。

完璧主義を目指しがちな人におすすめなのが、“70%できていればOK”という考え方です。「ここまでできたから合格!」と、自分に合格点を出す習慣を作ります。

育児の分野では、「グッド・イナフ・マザー(十分に良い母親)」という有名な考え方があります。

  • 子どもの服に少しシワがあっても清潔ならOK
  • プレゼン資料のデザインが粗くても、内容が伝わればOK

これだけで、毎日のストレスは大きく減ります。

完璧主義をゆるめるコツは、「心のプログラムを書き換え、小さな成功を積み重ねること」です。「べき思考」をゆるやかに書き換え、「70%で合格」と自分を許し、「十分に良い母親」であることを認める。肩の力が抜けると、そのぶん家族との時間や、自分の趣味にもエネルギーを向けられるようになり、結果的に仕事のパフォーマンスも上がる好循環が生まれていきます。

⑨フルタイムにこだわらない「派遣」という選択をする

フルタイムの正社員は年収が安定し昇給チャンスも豊富ですが、所定労働時間が長く残業も発生しやすい傾向があります。これに対し派遣社員は時給制が基本で、1日6時間・週4日など柔軟に契約を設定できるのが大きなメリットです。

パートタイムはさらに短時間勤務が可能ですが、専門業務に就ける機会や時給水準は派遣より低いケースが多く、キャリア形成面では派遣に軍配が上がります。

迷った時は「時間的可処分所得」という考え方を取り入れてみましょう。これは手元に残るお金だけでなく「自由に使える時間」を貨幣価値に換算し、トータルの満足度を測る指標です。

たとえば残業込みで年収500万円の正社員と、残業ゼロで年収400万円の派遣を比較すると、平日1日あたり2時間の自由時間を得られる派遣のほうが、時給換算で実質的に高いリターンを生んでいる可能性があります。収入と時間のバランスを数値化し、あなたにとって最適な働き方を選んでみてください。

両立を支える社会的サポートと未来の展望

仕事と育児を両立しながら明るく通勤する女性のイメージ

「ワンオペ育児」という言葉は、一人の親が家事も育児もほぼ単独で担う状態を指し、精神面・身体面の負荷が大きいことで知られています。こうした状況を社会全体で変える旗振り役として生まれたのが、厚生労働省が推進する共育(トモイク)プロジェクトです。

共育(トモイク)プロジェクトの取り組み

共育プロジェクトの中核は「子育ては家庭だけの責任ではなく、職場や地域が一緒に担う」という理念です。具体的な施策として、

  1. 家庭同士が当番制で子どもを預かり合うシェア保育
  2. 男性の育児休業取得を後押しする全国キャンペーン
  3. 企業向けのガイドライン提供

などが用意されています。

職場と家庭での子育て支援の拡充

職場と家庭の両面で子育てを支えるには、まず企業側が腰を上げる必要があります。最もインパクトが大きいのは社内保育所や企業主導型保育事業の設置です。初期投資が数千万円規模になることから二の足を踏む経営層も少なくありませんが、内閣府の「企業主導型保育事業助成金」を利用すれば、施設整備費の最大3分の2が補助され、運営費も月額で子ども1人あたり約13万円(地域・年齢で変動)の補填を受けられます。

一方、家庭側の支援策を多様化することも欠かせません。祖父母のサポートは古典的ながら有効で、厚生労働省の調査では「週1回以上の祖父母支援」を受ける家庭の母親就業率が71%と、支援なし家庭の53%より大幅に高いという結果が出ています。

またシェアハウス型子育てコミュニティも注目されています。横浜市の『こそだてシェアハウスmamagaku』では、10世帯が共同でキッチンやキッズスペースを利用し、当番制で見守りを行う仕組みを導入。利用者の80%が「家事・育児負担が軽減した」と回答しており、都市部で孤立しがちな家庭に魅力的な選択肢になっています。

企業と自治体の連携としては、長野県伊那市とIT企業が共同で開設した『伊那まちBASE』があります。オフィススペースの隣に自治体認可の小規模保育園を併設。通勤時間ゼロ・送り迎え時間5分という環境が働く親から高評価を得ており、企業の利用社員23名の残業時間は平均で月10時間減少、女性管理職比率は2年間で12%から20%に向上しました。自治体側にとっても移住促進につながり、3年間で市内定住世帯が17世帯増加した実績があります。

こうした好例を一般化するには、政策面での後押しが不可欠です。また保育士配置基準の弾力化やオンライン保育管理システムの認可など、テクノロジーを活用できる制度設計も求められます。

まとめ:自分らしい両立を目指して

仕事に向かう母親と幼い子ども、家事をする父親のイメージ

仕事と育児の両立に、これという正解はありません。家庭の状況や働き方、価値観によって、最適なバランスは人それぞれ異なります。大切なのは、完璧を求めすぎず、自分と家族にとってちょうどいい形を見つけていくことです。最後に、両立を前向きに続けていくためのヒントを改めて整理してみましょう。

完璧を求めず「ちょうどいい」バランスを見つける

育休復帰から数年経ち、管理職を目指し始めたNさん(35歳)は、自身の人生を「定点観測」する年表を作っていました。

「2018年:第一子誕生―時短勤務開始」
「2020年:テレワーク導入―副業スタート」
「2022年:第二子誕生―派遣への転身で週30時間勤務」
「2024年:子どもが保育園に慣れる―正社員に復帰」

といった具合です。年表により、環境が変わるたびに働き方を柔軟に組み替えてきた自分を客観視でき、キャリアが途切れずに“走り続けている”感覚を得られると話していました。

こうした年表は「バランス=静的」という思い込みを崩すのに役立ちます。バランスはシーソーのように一点で釣り合うものではなく、波の上でサーフィンするような「ダイナミック・バランス」です。子どもの成長、組織の体制、社会情勢……どれも常に動いており、だからこそ時折“足場”を組み替える作業を前向きに捉え、「また次の波に乗ればいい」と考えられるようになると心が軽くなります。

もうひとつ意識したいのが“コンパウンド・サクセス”という発想です。投資の複利と同じで、毎日の小さな成功体験を積み重ねると自己効力感が指数関数的に高まります。たとえば「週3日は18時までにPCを閉じる」「朝15分だけ英語アプリを開く」「子どもに1日1回ハグする」といったミニ目標を設定し、達成できた日にカレンダーへ◎印を付けます。◎が並ぶほど視覚的な達成感が蓄積し、次の行動エネルギーになります。

自分の時間を大切にしながら、子育てと仕事を楽しむ

「ワーク・ライフ・インテグレーション」とは、仕事とプライベートを完全に切り分けるのではなく、相互に良い影響を与え合うように設計する考え方です。

たとえば在宅勤務日の昼休みに子どもの通院を済ませる代わりに、業務終了後の隙間時間でスキル研修動画を視聴するなど、時間とエネルギーを柔軟に配分して相乗効果を生み出します。「仕事があるからこそ生活が豊かになり、家庭が充実しているからこそ仕事に集中できる」状態を目指すイメージです。

この考え方は数字の裏付けも得ています。大手人材サービス会社の調査では、パラレルキャリアや副業を行っている子育て世代の76%が「育児満足度が向上した」と回答しました。理由として「経済的ゆとりが生まれた」「自分の成長を子どもに示せる」「多様な人と接点が増え視野が広がった」が上位に挙がっています。

仕事と育児の両立ができる派遣の仕事を「キャリステ」で探してみる

キャリステには、柔軟な勤務時間が用意されている求人や在宅勤務可能な求人など、仕事と育児の両立を目指す方のニーズに応えられる案件が豊富に揃っています。

派遣は契約更新ごとに働く曜日や時間を見直すことができるため、ご自身の都合に合わせて無理のない働き方を選ぶことが可能です。自分らしく働けるお仕事を探している方は、ぜひ活用してみてください。

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