派遣で働きながら「もう少し収入を増やしたい」「スキルアップのために別の仕事も経験したい」と考えている方へ。複数の仕事を掛け持ちすることは法律上可能ではありますが、社会保険・税金・労働時間の管理など、知らないとトラブルになりかねないポイントがいくつかあります。この記事では、基本的なルールから、具体的な手続き、注意点などを網羅的に解説していきます。安心して収入アップを実現できるよう、ぜひ最後まで読んでみてください。
派遣の掛け持ちはできる?まずは基本ルールを知ろう
実際に派遣の掛け持ちを始める前に、法律上の基本的な考え方と、派遣会社ごとのルールを正確に理解しておくことが必要です。まずは大前提の部分から確認していきましょう。
法律上は問題なし!ただし派遣会社の就業規則の確認が必須
労働基準法や派遣法で、労働者の兼業や副業を禁止する規定はありません。つまり、法律上、複数の派遣会社に登録し、同時に複数の仕事を掛け持ちすることが可能です。
ただ、派遣会社や派遣先企業の就業規則で掛け持ちが制限されている場合があります。企業側には「職務専念義務」や「秘密保持義務」などを従業員に求める権利があり、これに基づいた規定が設けられていることがあるのです。例えば「事前に会社の許可を得ること」や「同業他社での兼業を禁止する」といった内容が一般的です。
もし登録している派遣会社や就業している派遣先が兼業を禁止しているにもかかわらず無断で掛け持ちをした場合、それは契約違反と見なされ、最悪の場合は派遣契約の解除につながるリスクも考えられます。掛け持ちを始める前に必ず就業規則を確認し、「兼業・副業に関する規定」の有無とその内容を把握しておくことが重要です。
〈掛け持ちを始める前に確認すべきこと〉
- 派遣会社の就業規則に「副業禁止」「掛け持ち禁止」の記載がないか
- 派遣先企業との契約書に掛け持ちに関する制限がないか
なぜ派遣会社は掛け持ちを禁止する場合があるのか
派遣会社が派遣社員の掛け持ちを就業規則で禁止したり、許可制にしたりする背景には、理由があります。
- 労働時間の管理が複雑になる
労働基準法では、法定労働時間(原則として1日8時間、週40時間)を超えて労働させた場合、会社は割増賃金を支払う義務があると定められています。複数の仕事を掛け持ちした場合は労働時間の合算が必要になり、派遣会社側の管理負担が増えてしまうのです。 - 情報漏洩や利益相反のリスク
同業他社で掛け持ちをする場合、派遣先企業の機密情報が漏洩するリスクがあります。また競合企業で同時に働くことは利益相反にあたります。派遣会社は派遣先企業に対して安定した労働力を提供する責任があり、掛け持ちによってこれらのリスクが高まることは避けたいと考えるのが自然です。 - 長時間労働によるパフォーマンスの低下
掛け持ちによる疲労やスケジュール調整の失敗で、本業のパフォーマンスが低下することを懸念する派遣会社もあります。特に責任の重い業務や専門性の高い仕事では、掛け持ちが制限されやすい傾向です。
派遣会社は派遣社員の健康と安全を守る義務も負っています。掛け持ちによる過度な労働で健康を害したり、労働災害につながったりする事態を避けるため、健康管理の観点から掛け持ちを制限するケースがあります。
派遣で掛け持ちをするメリット・デメリット

派遣社員として複数の仕事を掛け持ちすることは、収入の増加をはじめ多くのメリットがあります。一方で、スケジュール管理が複雑になるなど課題も存在します。ここでは、派遣の掛け持ちを検討している方がご自身の状況に合わせて最適な判断できるよう、メリットとデメリットを掘り下げていきます。
掛け持ちのメリット|収入・スキル・経験値アップ
- 収入アップ
派遣を掛け持ちする最大のメリットは、なんといっても収入を増やせることでしょう。複数の仕事をすることで、生活費の足しになるだけでなく、貯蓄に回したり、自己投資に充てたりと、金銭的な余裕が生まれます。不安が軽減し、より安定した生活基盤を築くことが可能になります。 - スキル・経験の幅が広がる
異なる業界や職種を掛け持ちすることで、一つの仕事では得られない多角的な視点や経験、知識を習得することができます。例えば平日は事務職で論理的な思考力を養い、週末はイベントスタッフとしてコミュニケーション能力を磨く、といった働き方も可能です。こうした経験は、将来のキャリアの選択肢の幅を広げることにもつながります。 - リスク分散
一つの派遣先に依存せず複数の収入源を持つことで、契約終了や派遣先の都合による急な仕事の減少にも対応しやすくなります。特に派遣は契約期間が決まっているため、掛け持ちをして収入が途絶えるリスクを分散できることは非常に有効です。
掛け持ちのデメリット|スケジュール管理と体力の負担増
- スケジュール管理が複雑になる
複数の仕事を掛け持ちすると、シフトの調整やスケジュール管理が難しくなります。特に急なシフト変更や残業が発生した場合、もう一方の仕事に影響が出ないよう都度のすり合わせが必要です。スケジュール管理アプリやカレンダーを活用し、常に最新の予定をアップデートしていかなければいけません。 - 体力的・精神的な負担が増える
掛け持ちをするとその分休日が減り、体力的・精神的な負担が増えます。特に、立ち仕事を掛け持ちする場合は疲労が蓄積しやすく、また同日に2つの仕事をする場合は移動も発生し、実際の労働時間以上の疲労を感じるかもしれません。無理なスケジュールを組まず、適度な休息を確保することが大切です。 - 社会保険や税金の手続きが煩雑になる
複数の勤務先で働くと、社会保険の加入条件や税金の手続きが複雑になります。確定申告が必要になる場合、自分で書類を準備して申告しなければなりません。手続きを怠ると、後々追徴課税や社会保険料の遡及請求などに発展する可能性があります。 - プライベートの時間が減る
掛け持ちをすると仕事に費やす時間が増え、プライベートの時間が減ります。趣味や友人との時間、家族との時間が犠牲になる可能性があるため、ワークライフバランスを重視したい人はあらかじめ心づもりが必要です。
【最重要】派遣掛け持ち7つの注意点|社会保険・税金・手続きを徹底解説

トラブルを未然に防ぎ、安全かつ賢く派遣の掛け持ちをするために、事前に知っておくべきルールや手続きを解説していきます。しっかりと内容を理解し、安心して掛け持ちを実現してください。
1. 事前に派遣会社の就業規則を確認し、掛け持ちを報告する
派遣の掛け持ちを始めるにあたり最初に行うべきは、登録している派遣会社の就業規則を確認することです。「副業・兼業」に関する項目があるかをチェックしましょう。「副業禁止」「掛け持ち禁止」の記載がある場合、無断で掛け持ちをすると契約違反となり、最悪の場合、契約解除や損害賠償を請求される可能性があります。
もし就業規則に明確な規定がなかったり、記載内容が不明瞭だったりする場合は、自己判断せずに派遣会社の担当者に直接確認を取りましょう。この事前確認を怠ると、万が一掛け持ちが禁止されている会社だった場合、契約違反として扱われ、最悪の場合は契約解除に至るリスクもあります。
また、たとえ就業規則で掛け持ちが禁止されていなかったとしても、派遣会社には事前に掛け持ちの事実を報告するのがおすすめです。派遣会社によっては、掛け持ちを許可する条件として「週の労働時間が40時間を超えないこと」「同業他社での掛け持ちは禁止」などの制限を設けている場合もあります。報告することで労働時間の管理や社会保険の手続きをスムーズに進めることができます。
2. 労働時間の上限|週40時間を超えるとどうなる?
労働基準法では、労働時間の上限が原則として1日8時間、週40時間と定められています。重要なのは、複数の勤務先で働いている場合、すべての勤務先の労働時間を「通算」して計算するという点です。
例えばA社で週30時間、B社で週15時間働いた場合、合計の労働時間は週45時間となります。この場合、法定労働時間の週40時間を5時間オーバーしているため、この5時間分は時間外労働(残業)扱いになります。
週40時間を超えた場合の割増賃金
週40時間を超えて働いた場合、超過分には25%以上の割増賃金が発生します。そしてこの割増賃金を支払う義務があるのは、後から雇用契約を結んだ会社です。
労働者自身は、自分の全労働時間を正確に把握する必要があります。タイムカードや勤務表を保管し、週ごとの労働時間を管理しましょう。またメインの派遣会社だけでなくサブの派遣会社にも掛け持ちを報告し、労働時間の合算について相談しておくと安心です。
| 週の労働時間 | 時給 | 週の収入 | |
|---|---|---|---|
| A社(先に契約) | 30時間 | 1,500円 | 45,000円 |
| B社(後に契約) | 15時間 | 1,200円 | 18,000円 |
| 合計 | 45時間 | – | – |
| 超過分(割増対象) | 5時間 | 1,200円×1.25 | 7,500円 |
3. 社会保険の加入条件と手続き|複数の会社で条件を満たしたら?
派遣の掛け持ちをする際、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の取り扱いが複雑になります。具体的に見ていきましょう。
社会保険の加入義務が発生する条件
●一般条件:正社員の概ね4分の3ルール
- 1週間の所定労働時間、または1ヶ月の所定労働日数が、その職場で働く正社員の概ね4分の3以上である
例えば正社員が週40時間勤務であれば、週30時間以上働く場合は加入対象となる可能性があります。
●短時間労働者の社会保険加入条件
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が88,000円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生でない
- 従業員数が51人以上の企業
掛け持ちをしている場合、これらの条件はそれぞれの勤務先ごとに判断されます。もし複数の勤務先で条件を満たした場合は、後述する複雑な手続きが必要になります。
複数の勤務先で社会保険の加入条件を満たした場合の手続き
複数の勤務先で社会保険の加入条件を満たした場合、あなた自身がどちらか一方の会社を「主たる勤務先」として選び、その会社で社会保険に加入することになります。手続きの流れは以下の通りです。
- 「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を提出
主たる勤務先を管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。この届出を行うことで、選択した勤務先の健康保険証が発行されます。 - 保険料の按分
社会保険料は、各勤務先の報酬額に応じて按分されます。例えば、A社で月15万円、B社で月10万円の収入がある場合、保険料はそれぞれの報酬額に応じて計算され、各社が負担します。 - 健康保険証の発行
1.で行った手続きに基づき、主たる勤務先で加入した健康保険証が発行されます。
扶養内で働きたい場合の注意点(106万・130万の壁)
配偶者などの扶養に入りながら派遣の掛け持ちを考えている方は、「年収の壁」に特に注意が必要です。
「106万円の壁」は、上記の社会保険加入条件を満たすと、年収106万円以上で社会保険に加入する義務が発生します。「130万円の壁」は、年収130万円を超えると、配偶者の扶養から外れ、自分で社会保険に加入する必要があるというものです。
派遣の掛け持ちをする場合、すべての給与収入を合算して年収を計算するため、扶養内で働きたい人は上限を意識して計画的に調整しましょう。
4. 雇用保険の加入は主たる1社のみ
雇用保険は、複数の勤務先で同時に加入することはできません。原則として「主たる賃金を受ける事業所」でのみ加入が認められています。つまり掛け持ちで複数の仕事をしている場合でも、最も多くの収入を得ている会社、または労働時間や収入を総合的に判断してメインとなる会社1社でのみ雇用保険に加入することになります。
雇用保険の加入条件は以下の通りです。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
どちらの会社で加入すべきか迷った際は、一般的には収入が多い会社を主たる事業所として選択します。
5. 税金の手続き|年末調整と確定申告の違い
複数の仕事を掛け持ちすると、税金の手続きも通常とは異なります。まずは、年末調整と確定申告という2つの手続きの役割分担を正しく理解しておくことが重要です。
年末調整は給与が最も多い1社で行う
年末調整は、派遣の掛け持ちをしている場合でも、原則として「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している主たる勤務先1社でのみ行います。主たる勤務先とは通常、最も給与額が多い会社を指します。もしサブの勤務先にも「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してしまうと二重に控除が適用されるため、注意が必要です。
申告書を提出していないサブの勤務先では、年末調整は行われません。その代わり源泉徴収税額表の「乙欄」という高い税率が適用されて所得税が天引きされることになります。年末調整が行われなかった分の税金については、後述する確定申告で精算すると、払いすぎた税金が還付されることになります。
もう一方の給与所得が20万円を超えたら確定申告が必要
主たる勤務先以外(サブの勤務先)の給与所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。
確定申告では、すべての勤務先から交付された「源泉徴収票」をもとに、年間の全所得とそれに対する正しい税額を計算し直し、納税額を確定させる手続きを行います。この手続きにより、年末調整で精算しきれなかった税金が正しく計算され、払いすぎた税金があれば還付される(戻ってくる)ケースも多いです。確定申告の手順は以下の通りです。
- 源泉徴収票を準備
すべての勤務先から源泉徴収票を受け取ります。 - 確定申告書を作成
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、オンラインで簡単に作成できます。 - 税務署に提出
確定申告書を税務署に提出します。e-Taxを利用すれば、自宅から申告できます。
確定申告を怠ると追徴課税などのペナルティが課されることもあるため、忘れずに手続きを行いましょう。
6. 掛け持ちはバレる?主な原因とバレないための対策
先述した通り、派遣の掛け持ちをする際は、派遣会社に事前に相談することをおすすめしていますが、「どうしてもバレたくない」という事情がある方もいるかもしれません。ここでは、掛け持ちが会社にバレる最も一般的な原因と、未然に防ぐための対策をお伝えしていきます。
住民税の通知から発覚するケースと「普通徴収」への変更
掛け持ちが会社にバレてしまう最大の原因は、「住民税の通知」です。通常、住民税は、前年の所得すべてを合算して計算され、翌年6月に勤務先に通知されます。給与額に対して住民税額が不自然に高いことに担当者が気づき、「他に収入があるのではないか」と勘づいてしまうことがあります。
このリスクを大幅に下げる方法として、住民税の「普通徴収」への変更があります。確定申告をする際に、サブの仕事で得た所得分の住民税を「自分で納付(普通徴収)」するという選択してください。これにより、メインの会社にはサブの収入に対する住民税の通知が行かなくなり、住民税の金額から掛け持ちが発覚する可能性を低くすることができるのです。
7. 同じ派遣会社・同じ派遣先での掛け持ちは可能か
同じ派遣会社で複数の仕事を掛け持つことは可能です。一方で、同じ派遣先での掛け持ちは原則として認められません。労働者派遣法自体には「同じ派遣先で複数の派遣会社を使った掛け持ち」を明確に禁止する規定はありませんが、契約違反やトラブルのリスクが高いです。
- 【同一派遣会社・別々の派遣先】
派遣の掛け持ちのなかで最も一般的で、比較的スムーズに手続きを進めやすいパターンです。派遣会社が一元的にあなたの労働時間や社会保険の管理を行えるため、法的な問題や手続き上の煩雑さが少なくて済みます。
- 【別々の派遣会社・同一派遣先】
原則として認められないケースがほとんどです。派遣先企業は、複数の派遣会社から同じ人物を受け入れることで、労働時間管理の複雑化、社会保険のトラブル、あるいは派遣会社間の契約トラブルといったリスクを抱えることになります。多くの派遣先企業では、このような形態の掛け持ちを就業規則で禁止しているか、許可しない方針を取っています。
- 【同一派遣会社・同一派遣先】
非常にレアなケースですが、可能性がないわけではありません。例えば、同じ派遣先企業内で、全く異なる部署や業務内容で、それぞれ別の労働契約を結ぶ場合などが該当します。しかしこの場合も派遣先企業は労働時間管理や労務管理上のリスクを負うため、事前に派遣会社と派遣先の双方にしっかり相談し、許可を得ることが不可欠です。基本的には、トラブルを避けるためにも、同一派遣先での掛け持ちは避けるのが賢明だといえるでしょう。
【要注意】派遣掛け持ちで起きやすいトラブル事例3選

派遣の掛け持ちは、収入を増やしたりスキルアップを図ったりする有効な手段ですが、ルールを正しく理解しないと予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。ご自身の問題として捉え、ぜひ今後の参考にしてください。
事例1:住民税の通知で派遣先にバレて契約終了に
Aさんは、メインの派遣の仕事のほかに、派遣会社に内緒で週に数回アルバイトをしていました。収入を少しでも増やしたいという思いからでしたが、確定申告の際に住民税を「普通徴収」にする手続きを失念。その結果、メインの派遣会社の経理担当者が、天引きされる住民税額がAさんの給与額に対して不自然に高いことに気づき、掛け持ちが発覚してしまいました。
Aさんの派遣会社では「許可なく兼業してはならない」という就業規則があり、Aさんはこれに違反したと判断されました。派遣会社はAさんとの信頼関係が損なわれたことを理由に、次回の契約更新を行わないことを決定。結果として、Aさんはメインの派遣の仕事を失うことになってしまいました。
事例2:労働時間の合算ミスで社会保険未加入が発覚
Bさんは2つの派遣会社でそれぞれ週18時間ずつ、合計週36時間働いていました。どちらの派遣会社も「週20時間未満」という理由で社会保険には加入しておらず、社会保険の加入判定は原則として「1つの会社単位」 で行われるためBさん自身も問題ないと考えていました。
しかし、1社ごとに見たら短時間労働者ですが、合計すると週30時間以上になり、フルタイム換算で社会保険の加入対象となる可能性があります。短時間労働者向けの条件ではなく、一般的な加入条件が適用されるケースもあり、本来は加入を検討すべき状況でした。
数年後、年金事務所の調査でこの事実が発覚し、Bさんは最大で過去2年分の社会保険料を遡って支払うよう勧告を受けました。このトラブルはBさん自身の経済的負担となっただけでなく、加入義務を管理していた派遣会社にも迷惑をかける事態に発展しました。
事例3:確定申告を怠り、税務署から指摘を受けた
Cさんは、メインの派遣の仕事とは別に、単発のイベントスタッフとして年間約30万円の収入を得ていました。メインの派遣先で年末調整は行われていましたが、単発の仕事の収入は「大した額ではないから」と自己判断し、確定申告をしませんでした。
数年後、税務署からの連絡で、Cさんの申告漏れが発覚しました。メインの派遣先以外からの給与収入が年間20万円を超えていたため、本来であれば確定申告を行う義務があったのです。Cさんは、本来納めるべき所得税に加えて、無申告加算税や延滞税といった重いペナルティを課されることになりました。「給与所得が20万円を超えたら確定申告が必要」というルールを知らなかったことによる代償は大きく、税金に関する手続きを軽視しないことの重要性を痛感する結果となりました。
パターン別!派遣掛け持ちの賢い進め方

ここからは、より実践的な視点から、個人の目的やライフスタイルに合わせた賢い派遣掛け持ちの進め方をパターン別に提案します。単に収入を増やすだけでなく、どのような働き方の組み合わせがご自身にとって最適なのかを考えるためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
【派遣+派遣】複数の派遣会社に登録するケース
複数の派遣会社に登録し、それぞれから仕事の紹介を受けて働くスタイルです。このパターンの最大のメリットは、収入源を複数確保しリスク分散ができること、そして、幅広い選択肢のなかから、ご自身のスキルや希望条件に最も合った仕事を見つけやすいことです。異なる業界や職種を経験することで、キャリアの幅を広げたり、専門性を深めたりする機会にもつながります。
デメリットとしては、労働時間や社会保険、税金などの管理が複雑になる点が挙げられます。それぞれの派遣会社との契約内容や就業規則、そして全労働時間の通算による社会保険の加入条件や税金の計算など、細かな手続きや調整が必要になります。
自己管理能力が高く、煩雑な手続きを厭わない方に向いているでしょう。双方の派遣会社の担当者と密に連携を取り、正確な情報共有を行うことが、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに掛け持ちを成功させるための鍵となります。
賢い進め方
- 異なる業種 / 職種を選ぶ
同業他社での掛け持ちは情報漏洩や利益相反のリスクがあるため、異なる業種、職種を選びましょう。例えば平日は事務職、週末は軽作業といった組み合わせがおすすめです。 - 労働時間を調整する
週の労働時間が40時間を超えないよう、各派遣先の労働時間を調整しましょう。例えばA社で週25時間、B社で週15時間といった配分が理想的です。 - 派遣会社に掛け持ちを報告する
複数の派遣会社に登録する場合、それぞれの派遣会社に掛け持ちを報告し、労働時間や社会保険の手続きについて相談しましょう。
【派遣+バイト】単発や短期の仕事を組み合わせるケース
メインで派遣社員として働きながら、空いた時間や週末に単発・短期のアルバイトを組み合わせる働き方です。このパターンの特徴は、柔軟性の高さにあります。
例えば、平日の日中は派遣の仕事、週末にはイベントスタッフ、平日の夜には数時間だけフードデリバリーのアルバイトを入れるなど、ご自身の都合に合わせて自由に収入源を増やすことができます。
また、サブのアルバイト収入を年間20万円以下に抑えられれば確定申告が不要になるため、税金に関する手続きを簡略化できるという魅力もあります。収入の安定性という点では「派遣+派遣」には及ばないかもしれませんが、手軽に始めたい方や、特定の時期だけ集中的に収入を増やしたい方にはおすすめのパターンです。
賢い進め方
- 単発バイトを選ぶ
単発バイトは、1日単位で働けるため、派遣のシフトに合わせて柔軟に調整できます。イベントスタッフ、試験監督、軽作業などがおすすめです。 - 週末や平日夜を活用する
派遣の仕事が平日の日中の場合、週末や平日夜に単発バイトを入れることで、効率的に収入を増やせます。 - 確定申告を忘れずに
アルバイトの収入が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。源泉徴収票を保管し、期限内に申告しましょう。
【派遣+個人事業主】収入の安定と節税を両立するケース
派遣社員として働きながら、個人事業主として副業をするパターンです。派遣の仕事で安定した固定収入を確保しつつ、スキルを活かして個人事業主として活動するやや上級者向けの働き方になっています。Webデザイン、ライティング、プログラミング、コンサルティングなど、特定のスキルをお持ちの方に魅力的な選択肢となります。
この働き方の大きなメリットは、個人事業主として得る所得について青色申告を行うことで、必要経費を計上できるようになり、大きな節税効果が期待できる点です。また、派遣の仕事で安定収入を得ながら、自分の裁量で事業を進めることができるため、収入の安定性と自由な働き方を両立できます。
一方でデメリットとしては、事業の運営はもちろん、経理処理や確定申告などの事務作業をすべてご自身で行う必要がある点です。自身のスキルと自己管理能力が問われる選択肢となるでしょう。
賢い進め方
- 開業届を提出する
個人事業主として副業を行う場合、税務署に開業届を提出しましょう。開業届を提出することで青色申告が可能になり、最大65万円の控除を受けられます。 - 経費を継受する
個人事業主として働く場合、仕事に必要な経費(パソコン、通信費、交通費など)を計上することで、節税効果が得られます。 - 確定申告を行う
個人事業主として副業を行う場合、確定申告が必要です。青色申告を利用することで、税負担を軽減できます。
| メリット | デメリット | おすすめの人 | |
|---|---|---|---|
| 派遣+派遣 | 収入安定、リスク分散 | 労働時間管理が複雑 | 安定収入を重視する人 |
| 派遣+バイト | スケジュール調整が柔軟 | 確定申告が必要 | 柔軟な働き方を重視する人 |
| 派遣+個人事業主 | 節税効果が高い | 確定申告が必要 | 副業で事業を持ちたい人 |
派遣の掛け持ちにおすすめの仕事と派遣会社の選び方
派遣の掛け持ちを成功させるためには、どのような仕事を選ぶか、そしてどのような派遣会社と連携するかが重要な鍵となります。このセクションでは、ご自身の目的やライフスタイルに合わせて、掛け持ちをしやすい派遣会社を見つけるためのポイントを解説していきます。
スケジュール調整がしやすい!掛け持ちにおすすめの職種5選

掛け持ちを成功させるうえで最も重要なのは、それぞれの仕事のスケジュールを無理なく両立できるかどうかです。ここでは、スケジュール調整がしやすく、掛け持ちにおすすめの職種を5つご紹介します。ご自身のライフスタイルやスキルに合わせて、最適な仕事を見つける参考にしてください。
- データ入力・事務職
デスクワークで体力的な負担が少なく、シフトの融通が利きやすい職種です。在宅勤務が可能な場合もあり、掛け持ちに最適です。 - コールセンター
シフト制で、短時間勤務が可能な場合が多いです。また座り仕事のため、体力的な負担が少ないのも魅力です。 - 軽作業(梱包・仕分け)
単発や短期の仕事が多く、週末や平日夜に働けます。急な出費がある時や、一時的に収入を増やしたい時にスポットで入りやすいのが特徴です。 - イベントスタッフ
単発の仕事が多く、コンサートや展示会などの仕事は主に土日祝日に集中しているため、平日に本業がある方でも両立しやすい職種です。高時給の案件も多く、効率的に収入を増やせます。非日常的な環境で働くことは、気分転換にもなるでしょう。 - IT・Web系
Webデザイナー、ライター、プログラマーなどは、リモートワーク案件が豊富にあり、時間や場所の融通が利きやすいのが最大のメリットです。専門スキルは必要ですが、自宅で効率的に働きたい方にとっては理想的な選択肢と言えます。
\データ入力やコールセンターの仕事が豊富/
掛け持ちしやすい派遣会社を見つける3つのポイント
派遣の掛け持ちを円滑に進めるためには、掛け持ちに理解があり、適切なサポートを提供してくれる派遣会社を選ぶことが非常に重要です。以下の3つのポイントをチェックしましょう。
- 短時間・短期の案件が豊富か
メインの派遣の仕事と両立しやすいのは、柔軟なシフトで働ける単発や短期の仕事であることが多いため、これらの案件を積極的に扱っている派遣会社は、掛け持ちをサポートする体制が整っていると判断できます。また登録型派遣の場合、掛け持ちが認められやすい傾向にあります。 - 親身に相談に乗ってくれるか
登録時や面談時に掛け持ちの意向を伝えた際に、前向きなアドバイスをしてくれるかもポイントです。社会保険や税金に関する知識を持っているかなど、対応の誠実さや専門性をしっかりと見極めましょう。曖昧な返答や消極的な対応をする会社は避けた方が賢明です。 - サポート体制が充実しているか
掛け持ちをする場合、労働時間の管理や社会保険の手続きが複雑になります。サポート体制が充実している派遣会社を選ぶと、安心して働けます。
派遣の掛け持ちに関するよくある質問(Q&A)

まとめ:ルールを正しく理解して、賢く収入アップを実現しよう
派遣の掛け持ちは法律上問題はなく、収入を増やしながらスキルや経験の幅を広げられる、有効な働き方です。ただし、派遣会社の就業規則や労働時間の管理、社会保険・税金の手続きなど、注意すべきポイントもあります。
やみくもに掛け持ちを始めるのではなく、この記事で解説した注意点やチェックリストを参考に、トラブルを避けて賢く行動していきましょう。
キャリステには掛け持ち可能な案件も豊富!
派遣のお仕事検索サイト「キャリステ」には、短期や単発、短時間勤務の案件を数多く掲載しています。実際に掛け持ちをして働いている方も数多くいらっしゃるので、あなたの希望条件にあったお仕事もきっと見つかるはずです。派遣の掛け持ちを検討している方はぜひ利用してみてください。



